AIOに「引用」されるだけでは足りない!ウィッグ通販ECで見えた「メンション」の指標

自社ECと直営サロン9店舗を運営するウィッグ販売会社様では、ChatGPTなど生成AI経由の流入が1年で8.7倍になりました。数字だけを見れば、AI検索対策は順調に見えます。
ただ、この事例でお伝えしたいのは、伸びた数字そのものではありません。AI Overviewsの表示を毎月見続けるなかで、私たちはある変化に気づきました。そこから見えてきたのは、「AIに引用されている」ことと「AIに選ばれている」ことは別物だということです。
この記事では、その気づきから仮説を立て、分析し、次の施策につなげるまでの流れをご紹介します。
目次
前提:8年以上続いてきたSEOの土台
まず前提として、このサイトには長く積み上げてきた検索の土台があります。

ビッグKW「ウィッグ」2位、「医療用ウィッグ」も最高1位
「ウィッグ」「医療用ウィッグ」はどちらも最高1位を獲得し、現在も2〜4位で安定しています。8年以上、上位を維持してきたキーワードです。
サイト全体の平均掲載順位は前年同期の8.7位から6.4位に改善し、CTRも3.6%から4.1%に上がりました(Google Search Console)。
年間のオーガニックセッションは556,054、指名検索も月間9,900前後で安定しています。
AI Overviewsに引用された12キーワードは、すべて検索1位のページだった
AI Overviewsに引用されている12キーワードを確認すると、引用元はいずれも検索1位のページでした。「医療用ウィッグ」や「ウィッグ 洗い方」などがその例です。
AI Overviewsでの引用数も、2025年8月の59から2026年8月には307まで増えています。

AI OverviewsやAIモードは、従来の検索ランキングや品質評価の仕組みを土台にしています。上位に表示されているページほど、AIの回答にも拾われやすくなります。
つまり…AI検索対策、AIO対策は、SEOと切り離して考えることはできません。
LLM経由の流入は1年で8.7倍に
GA4の参照元からLLM経由のアクセスを切り出し、毎月計測しています。2026年7月の流入は603ユーザーで1年前の69ユーザーから8.7倍になりました。

特に2026年3月以降、伸び方が一段階上がっています。流入元はほぼすべてChatGPTです。
ただし、サイト全体から見ればまだ0.54%です。増加率は他のチャネルを大きく上回っていますが、絶対数はまだ小さいというのが正直なところです。
だからこそ私たちは、流入数の伸びだけでなく、AIの回答の中身に目を向けるようにしました。
AIOを見ていて気づいた、購入ワードでの変化
毎月AI Overviewsの表示を確認するなかで、ある傾向に気づきました。購入や比較検討に近いワードでは、回答の本文に会社名が挙がる頻度が増えていたのです。
「選び方」や「洗い方」のような情報を集めるワードでは、AIは一般的な説明をまとめ、出典としてリンクを添えます。
一方で購入に近いワードでは、「この会社はこういう特徴がある」と、会社そのものを紹介する回答が目立つようになっていました。
「引用」と「メンション」は、集客への効き方が違う
ここで整理したのが、AI回答での扱われ方の2つの違いです。
- 引用:回答の出典としてリンクが表示される状態
- メンション:回答の本文で、会社名やブランド名が挙げられる状態
比較検討中のユーザーは、AIの回答を読んで候補を絞ります。そのとき候補に入るのは、本文で名前が挙がった会社です。出典リンクの一つとして並んでいるだけでは、選択肢に入りにくいのです。
引用だけでは、比較の土俵に乗れません。
購入に近いワードほど、メンションされるかどうかが集客効果を左右する。そういう仮説を立てて、次の分析に進みました。
メンションと引用を切り分けて分析
仮説を確かめるため、分析ツール:Ahrefs を使ってAI Overviewsでの「引用」と「メンション」を分けて集計しました。
購入に近いワードではメンションが増えている傾向が見られた一方で、取りこぼしもはっきりしました。
比較検討クエリで「引用○・メンション×」が13件
「ウィッグ おすすめ」のような比較検討のクエリでは、出典リンクとして引用はされているものの、回答本文では名前が挙がっていないケースが13件ありました。
つまり、AIはこのサイトを「情報源」としては認めているものの、「おすすめする候補」としては扱っていないということです。流入数だけを追っていたら、この状態には気づけなかったと思います。
ChatGPTは16/30、Geminiは25/30。医療用・メンズ領域が弱い
AI Overviewsとあわせて、主要なLLMでの言及状況も毎月記録しています。
ユーザーが実際に入力しそうな質問を30問用意し、回答に名前が挙がるかを確認しています。

言及されなかった質問を見ると、医療用ウィッグやメンズ向けの領域に偏っていました。検索順位が高い領域でも、AIの回答で名前が挙がるとは限らないことが分かります。
次の一手:比較の土俵に乗るために
AIが比較の回答を組み立てるときには、「どの価格帯の商品があるか」「他と何が違うか」といった材料が必要になります。
そこで次の2つを施策として進めています。
- 価格帯の情報を集約する:サイト内に散らばっている価格の情報を整理し、AIが読み取りやすい形にまとめます。
- 差別化ポイントを本文に出す:直営サロンがあることなど、この会社ならではの強みを、画像やバナーではなくテキストとして明記します。
どちらも現在実行中です。「引用○・メンション×」の13件がどう変わるかは、結果が出たところで改めてご報告します。
まとめ:自社は「引用止まり」か、「名前まで出ている」か
AI検索対策の成果は、流入数や引用数だけでは測りきれません。この事例では、数字が順調に伸びている裏で、比較検討の場面で名前が出ていないという課題が見つかりました。
御社のサイトは、AIの回答でどう扱われているでしょうか。
出典リンクに並んでいるだけなのか、比較の候補として名前が挙がっているのか。
まずはそこを把握するところから、AI検索対策は始まります。
今回ご紹介したウィッグ通販ECを含む3社のデータは、資料「LLMO・AIO対策 導入事例」にまとめています。
キャンピングカー販売業ではビッグキーワード1位を保ちながらAI Overviewsで19ヶ月連続の引用、製造業ではAI Overviewsの引用が1年で5.9倍と、業種ごとの実測データを掲載しています。
AIの回答で自社がどう扱われているかを確かめる指標も載せていますので、自社の現状を振り返る材料としてお使いください。

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